CEL
2006年03月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2006年03月25日 |
CEL |
都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.76) |
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文豪たちも愛した花街
東京の山手線が描く円のちょうど中心に当たる位置にある神楽坂。ここは、かつて銀座と並ぶ繁華街として栄えた。昭和の初めには、七〇件を超える料亭が軒を連ね、芸者さんも七〇〇人以上いた花街だったという、その華やかさに惹かれて、尾崎紅葉や泉鏡花といった文豪たちも居を構えた歴史を持つ。
神楽坂は、ここ数年若い女性を中心に人気を集め、今や都内で最も住みたい街の?1に選ばれるほど。JRや地下鉄の駅から近いこともあり、常に大勢の人々がこの坂を行き来している。
「神楽坂の魅力は『露地』『外堀』『坂』です。手を伸ばせば届くほどの細い露地に沿って黒塀が並び、そして石畳や階段がある昔ながらの東京の風景が、都内でわずかに残っている場所だからです」と、ここにかつて育った家があり、神楽坂のタウン誌の編集長を務める平松南氏は説明する。
わずか七〇〇メートルほどの道を中心とする小さな地域を対象としたタウン誌「神楽坂まちの手帖」が成立するのも、「街に魅力があるので、書くことは山ほどあるからです」。
確かに神楽坂には、表通りの商店街だけでなく、縦横に張り巡らされた迷路のような露地の奥に趣豊かな料亭や個性的な店があり、また、横丁商店街や飲食店街といった表の商店街とは違った顔の場所や、学校、神社仏閣もある。
「これほど多くの要素を抱え込んだまちは、東京広しといえども他にはないでしょう。この多様性や懐の深さこそ神楽坂の身上です」