山下 満智子
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2006年03月25日 |
山下 満智子
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.76) |
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大阪・御堂筋に面して建つガスビルの建築現場を撮影したフィルムが残されている。昭和五年から八年にかけてガスビル建築を請け負った株式会社大林組が撮影したものである。映像は、当時の最新工法によるガスビル建築を克明に記録する。込み合った商家の中で騒音を放つスチームハンマー、ガスビルを支えるたくさんの松杭、砂利もコンクリートも大勢の人手で運ばれ、鉄筋も人力で加工されている。そして商家の連なる界隈に忽然と現れるモダンな外観のガスビル、どれも非常に貴重な映像である。
その映像の中に、建築中のガスビルの屋上から大阪の街を映したシーンがあった。当時ガスビル周辺は二階建ての商家が連なり、さえぎるものは何もない。工事中の御堂筋や木造の商家、竣工したばかりの朝日ビルディングもはっきりと見える。煙の都といわれた当時の大阪の空も、そのフィルムには残されていた。デジタルデータとなったその映像をパノラマ状の写真にすることができた。御堂筋のパノラマ写真から当時の大阪の物語を掘り起こしてみたい。