松本 コウシ
2005年09月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2005年09月30日 |
松本 コウシ |
都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.74) |
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風景に宿る過去の美学
空にポッカリと浮かんだ巨大なドーナツ。その真ん中にロケットが突き刺さったような建物がたくさん立ち並び、それらの合間を縫うように曲がりくねった透明チューブが突き進む。チューブの中には丸っこいデザインのエアーカーなる自動車が光の如く駆け抜ける。かつて、少年漫画に描かれていた未来都市とはこんな感じでした。いまだ決して実現されることのないあの「未来」は、いったい何処に行ってしまったのでしょう。1970年、国民のすべてが「文明」に夢と希望を抱き開催された大阪万博。今まで見たこともない不思議な建物が立ち並ぶ会場の光景は、建築オリンピックの異名の通り、まさに「未来」を予感させてくれたのでした。大阪万博で掲げられたテーマは「人類の進歩と調和」。しかし万博が生み出した未来展望的なナショナリズム=夢物語は、いつの間にか何処かに消え失せ、代わって大量消費型社会が突然出現したのでした。人類はいったい何に向かって進歩しようとしたのでしょう。文明は、文化を破壊するともいわれています。文化とは人、つまり人間が長年にわたって培ってきた慣習や感情などの具象化と考えると、文明の進化が利便性と合理性=科学を追求するあまり、人は本来の心や魂を忘れてしまったということなのでしょうか。