中西 純司
2005年06月30日作成年月日 |
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2005年06月30日 |
中西 純司 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.73) |
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国が進める「総合型地域スポーツクラブ構想」とは
国(文部科学省)は、平成七年度から「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」を開始し、平成一二年に出された「スポーツ振興基本計画」には、「総合型地域スポーツクラブの全国展開」が、わが国のスポーツ人口拡大目標(一〇年間で、成人の週一回以上の実施率を三七・二パーセントから五〇・〇パーセントへ)の達成に必要不可欠な行政施策として謳われている。
このスポーツ振興基本計画策定以降、総合型地域スポーツクラブ(以下、「総合型クラブ」と略す)の創設気運が急速的にわが国全域に広まり、文部科学省の調査では、平成一五年七月一日現在までに、育成モデル事業によって一一五クラブが、各自治体レベルの育成・支援事業や(財)日本体育協会の「総合型地域スポーツクラブ支援事業」によって八三三クラブが、創設済みないしは創設中であるという。平成一六年度以降は、(財)日本体育協会が「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」を文部科学省委嘱事業として展開している(平成一七年年度からは委託事業)。 このような総合型クラブの定義は多様であるが、地域スポーツ推進研究会(一九九九年)によれば、総合型クラブとは「主にヨーロッパ諸国に見られる地域のスポーツクラブの形態で、地域において、子どもから高齢者、障害者までを含む、様々なスポーツを愛好する人々が参加できる、総合的なスポーツクラブである」と定義され、「ヨーロッパ型スポーツクラブ」がイメージされている。しかし、スポーツの歴史と制度が異なるヨーロッパ型スポーツクラブを模倣した総合型クラブを育成しても、独自のスポーツ振興施策に基づく地域スポーツクラブづくりの長い歴史と伝統を持つわが国では、現実的意味があるとは思えない。