渥美 公秀
2005年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2005年06月30日 |
渥美 公秀 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.73) |
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「災害は忘れぬうちにやってくる」―最近は、水害や地震が相次いで発生するために、これが多くの人々の実感ではなかろうか。忘れぬうちに、災害に強いコミュニティを築いていきたいものである。
災害に対するコミュニティの強さは、いくつかの要素から成り立っている。例えば、コミュニティを流れる河川の堤防が、どの程度整備されているか、耐震補強の施されている住居がどの程度あるかといったハード面での強さがある。また、ガスや電気をはじめとするライフラインが、どの程度堅牢な作りになっているか、交通・輸送手段にどのような代替手段が確保されているか、といったシステム面での頑健さもある。さらに、住民がどれほど積極的に防災活動を行っているか、その際、障害をもった人々や外国人等への配慮が行き届いているか、被災時にボランティアを受け入れて被害を最小限に留める体制が整っているか、そして、地域への愛着に溢れ、人の心に響くような復興プランを呈示できるかといった人間的・社会的な面での強さもあろう。
言うまでもなく、災害に対する強さを構成する諸要素は、相互に依存しあっている。ただ本稿では、各要素の相互依存を了解しながらも、「都市のソーシャル・キャピタル」(※1)という観点から、災害に対する人間的・社会的な側面での強さに焦点を当ててみたい。具体的には、「仕掛け」をキーワードとしながら、いわゆる災害サイクルに則って、防災、発災直後、救援、復興の順に、ソーシャル・キャピタルの増進、ないし、災害への強さにつながると思われる事例を紹介する。