浦 光博
2005年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2005年06月30日 |
浦 光博 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.73) |
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かつての地域社会は相互扶助の精神に満ちており、人々のつながりが緊密で、安らぎの場として人々を包み込んでくれた。それが今はどうだろうか。地域内での助け合いの精神と信頼感はすたれ、対人関係は希薄化し、かつては安らぎの源であった近隣関係が、しばしばストレスの元になることさえある。なぜ社会はこうなってしまったのだろうか。
答えは簡単である。人々がそれを望んだからである。いうまでもなく、ものごとには正負の両面がある。自発的な相互扶助といっても、実はその背後には相互監視があり、それを維持することへの強い社会的圧力が存在した。そして、緊密なつながりは、異質性や変化を容認しない排他的で閉鎖的な環境を作り出した。そのような窮屈な社会をわれわれが嫌ったのである。息の詰まるような人間関係はストレスに満ちている。またそれが人々の移動や社会の変化を阻み、個人としての、あるいは社会としての成長にマイナスに働くことも多い。だからこそわれわれは、そのような社会のあり方を変えようと努力を続けてきた。結果として、社会は発展し、人々は豊かになり、風通しのよい対人関係ができあがった。
しかしそれでもなお、社会はストレスに満ちている。心身に問題を抱える人々の数が減る兆しは見えてこない。そして助け合いの精神が廃れた。