大江 瑞絵
2005年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2005年06月30日 |
大江 瑞絵 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.73) |
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環境リスク・コミュニケーションに活かされるソーシャル・キャピタル
大江 瑞絵 Written by Mizue Ohe
リスクとは―環境リスクとは
近年、リスクという言葉は、ざまざまな意味で使われている。リスク研究の分野で用いられるリスク概念は、「望ましくない結果が生じる確立」と「その結果の大きさ」とで捉えられ、確率論に基づいた定量的指標である。一方、一般市民の間でより広義解釈されたリスク概念とは、「危険性」「恐ろしさ」「未知なるもの」といった定性的概念である。環境リスクという言葉についても、前者では、化学物質の人体や生態系への暴露影響を前述の定量的指標で表し、後者では、物量で表すこともあるが、環境への影響を定性的に評価していることが多い。
合意形成手段として期待される環境リスク・コミュニケーション
リスク・アセスメントとリスク・マネージメントでは、前述の定量的指標によってリスク評価を行い、リスクを回避したり、削減したり、比較によってよりリスクの低い代替案を選択するといったリスク管理を行う。しかし、今日取り上げられる環境問題は、定量化が難しい。また、さまざまな側面で、行政や企業のみならず、一般市民が環境問題にどう対応するかという判断に直面している。
そこで、関係主体間の相互的交流の場(手法)として注目されているのが、リスク・コミュニケーションである。リスク・コミュニケーションは、情報交換によって、関係主体間での合意形成のための情報の質、量が同じレベルになることを目的としている。