山岡 義典
2005年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2005年06月30日 |
山岡 義典 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.73) |
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私がトヨタ財団にいた頃、というとすでに十数年は前のことになるが、資金助成の公募を開始してからの大きな作業は、応募用紙の請求に対応することであった。募集案内や募集要項は数枚のものであるから、何千部も印刷して幅広く多くの関係方面に配布できる。しかし、応募用紙は書き込む枚数も多く、応募する意志のある人にとってだけ必要なものであるから、誰にでも送るとなると壮大な無駄が出る。送られてきた人も処分に困るだろう。だから応募を希望する人だけが葉書で請求し、そこに事務局から郵送する、というシステムをとる。毎年千件近い請求に一人ひとりの宛名を書いて送るわけで、その作業は馬鹿にならないが、請求状況から応募者の反応が読め、応募数の想定もつく。
三年前に市民社会創造ファンドを立ち上げ、いくつかの企業が行う市民活動助成のお手伝いをするようになった。当初はトヨタ財団のときと同じように、応募用紙は印刷して希望者に郵送するシステムをとった。ある助成プログラムでは、応募案内とともに広く配布もした。ホームページの公募案内からも応募用紙をダウンロードできるようにしたが、それだけでは不便な人も多いと考え、できるだけ簡便に応募を促そうとしたからだ。しかしこの数年、どの助成プログラムも、ダウンロードした用紙で応募する割合が圧倒的に増えてきた。そして印刷して用意した多くの応募用紙が、不要になって捨てられる運命になった。