前田 朋英
2005年03月15日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2005年03月15日 |
前田 朋英 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.72) |
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焚火でコミュニケーションをする
私はNPOのスタッフとして里山の保全・再生活動に関わっている。里山に関する活動は全国的に非常に盛んに行われており、環境省の調査によると、日本各地で約一〇〇〇もの団体が活動をしているという。これらの活動の主な内容は、管理されなくなった雑木林の下草刈りや木の伐採を行ったり、放棄された田んぼや畑などを耕したりするとともに、かつて日本の農村にあった文化や風習、さまざまな知恵などを掘り起こし保存継承していくことである。こういった活動で欠かせないのが皆で囲む焚火である。
特に焚火に夢中になるのは、子供ではなくおじさん連中だ。実際の里山保全に関わる作業よりも、作業後に囲む焚火を楽しみにしている人の方が多いのではないかと思うぐらい皆焚火が好きである。彼らになぜ焚火がそんなに好きかと尋ねると、子供の頃の体験を語る人が非常に多い。
日本でもある時期までは、あちらこちらで火が燃やされ、まるで焚火天国という状況だったようである。焚火にはどこからともなく人が集まり、火を囲んだコミュニケーションの場となっていた。そこにはもちろん子供の姿もあり、火を自在に操る大人の姿はとてもカッコよく見えたという。そんな子供にも役割はあり、焚き付けのための小枝や葉っぱ、燃やしてしまう木端などを集めてくるのが仕事であり、焚火は大人と子供が一緒にできる作業であった。
焚火は誰でもが参加できる協働作業であり、作業を通じてコミュニケーションを図ることができる場だったのである。