井形 慶子
2005年03月15日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2005年03月15日 |
井形 慶子 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.72) |
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自然に和んだ空間を生み出す暖炉の炎
年に何度となく渡英する私は、昨年のクリスマス期には、バース郊外のユニークなB&B(民宿)に滞在しました。そこは一〇〇年もの間、水車小屋として使われていた建物で、五年前から持ち主がB&Bを開業したのですが、床下を川が流れるなど、建物のあちこちに、歴史の重みを感じるような風格のある宿でした。
私が訪れた日、宿の息子さんたちは別のところで過ごしていたので、奥さま一人で私たちのほかに二組の客の相手をしていました。内訳はオランダからやってきた夫婦と、スコットランドから来た夫婦でした。
ご存知のとおり、イギリスのクリスマスでは、親しい家族が集まってクリスマスランチやディナーをとります。子どもたちがいる家庭では、暖炉があるリビングルームに集まって、その年のプレゼントを開けるのです。
その日に初めて会った私たち六人は、夕方六時ごろから奥様が振る舞ってくださったディナーをいただきました。昨日まで知らなかった人たちが食卓を囲むのですから、最初は多少遠慮や居心地の悪さもありました。
ところが食事が終わり、二階に上がって、天井の低いリビングルームでお茶やお酒を楽しむうち、自然に和んできたのです。その功労者は、その部屋の古い暖炉でした。話によると、この暖炉は、この建物が建った一〇〇年前に作り付けで作られたものでした。