藤目 和哉
2005年03月15日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2005年03月15日 |
藤目 和哉 |
エネルギー・環境 |
省エネルギー |
情報誌CEL (Vol.72) |
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時の話題 Commentary
新しい「長期エネルギー需給見通し」と省エネルギー法改正
藤目 和哉 Written by Kazuya Fujime
はじめに
総合資源エネルギー調査会が「長期エネルギー需給見通し」を発表するのは、その創設以来一四回目であるが、二〇〇四年六月(一〇月正式発表)に三年ぶりに改定された新見通しの特徴は、目標年度が京都議定書目標年である二〇一〇年度だけではなく、二〇三〇年度という、今まで目標年としたことのない所謂「超長期」といわれるタイムスパンを想定していることである。これまで数回にわたって二〇一〇年度をターゲットとしてきたのは、一九九七年一二月のCOP3(気候変動枠組条約第三回締約国際会議、於京都)以降、京都議定書の目標達成が政府の大きな課題になってきたからである。しかし、二〇〇四年度から見れば、二〇一〇年度はあと数年しかなく、見通しあるいは政策目標としては、選択は極めて限られている。そして、あと数年というのはとても長期とは言いがたい。そこで、今回の見通しでは敢えて「長期エネルギー需給見通し」とはせず、「二〇三〇年までのエネルギー需給展望」という表現が用いられている。
本来、見通しという表現は長年にわたって誤解されてきたが、むしろ政策目標と解釈した方がよく、筆者が繰り返して主張してきた疑問でもあった。しかしながら、二〇三〇年度ともなると、政策目標年としては不確実性が大きく、マクロ指標にしても、技術進歩にしても、エネルギー価格にしても、その見方自体をいかに想定するか、即ち外性的要因の設定如何でエネルギー需給や炭酸ガス(二酸化炭素)の排出量が左右される。