村瀬 誠
2004年12月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2004年12月25日 |
村瀬 誠 |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.71) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
バングラデシュの地下水のヒ素汚染は深刻だ。汚染は全土にまたがっており、最新の調査では、総人口1億2900万人のうち、実に5700万もの人たちが、WHOにおけるヒ素の飲料水水質基準を上回る地下水を飲んでいると推定されている。ヒ素は容易に体内に吸収され、蓄積していく。ヒ素で汚染された水を長期間飲み続けると、皮膚にメラニンが沈着し、やがて一部が角質化、最悪の場合、がん化する。事態がこのまま推移すると、将来、取り返しのつかないことになるかもしれない。 バングラデシュの年間平均降水量は、日本の1.5倍近い2500ミリもの雨が降る。私たち「雨水市民の会」では、ヒ素で汚染された地下水に替えて、この豊かな雨水を活用することで人々の生命を救えないかと考え、バングラデシュに通い続けて4年になるが、今、その成果が徐々に結実しつつある。昨年の私たちの提案を受け、今年、地元のNPOが竹製集水装置を住宅に約160基取り付けた。竹の節を下から一段だけ残し、中の節をくり抜いてできた縦樋を、竹を半分に割ってできた横樋の端に穴を開けて差し込む。縦樋の節の上部に穴をくり抜き、小さい竹筒を差し込み、トタン屋根に降った雨水を集めるといった簡単な仕組みだ。 私たちは、今年の7月、ベンガル湾近くの漁村で生活改善運動に取り組んでいるNPO組織「シュシラン」代表のヌルラマン氏の案内でこの装置を取り付けた現地を見て歩いた。