松本 コウシ
2004年12月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2004年12月25日 |
松本 コウシ |
都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.71) |
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青の竜舌蘭を捜せ
アオノリュウゼツラン、聞き慣れない名前かもしれません。というのも、おそらくはほとんどの方が、この植物のことを巨大化したアロエだと誤解しているようなのです。American Aloeとも言うそうですが実はアロエ科ではなく、通常Century Plant(百年植物)と言われるリュウゼツラン科に属するこの植物は、百年にたった一度だけ(実際は30〜40年周期で)茎を5メートル以上も伸ばして花を咲かせ、その労力のため自らが枯れてしまう、なんとも刹那的な植物なのです。同じ種の中で、テキーラの原料になるものもあるそうです。このメキシコ生まれのアオノリュウゼツラン、団地や工場の片隅などで、よく見かけていましたが、最近非常に少なくなっているようです。理由は、棘が非常に鋭くケガの原因になるために伐採されたり、あるいは昭和30〜40年代に植えられた多くのアオノリュウゼツランが、西暦2000年を境に開花し、枯れてしまったから、などが考えられます。また、関西の住宅圏における植裁文化の変貌に目を向けてみると、どうやら時代時代、あるいは地域地域によって、植裁の流行というものがあったようです。特に関西では、団地が出現した昭和30年代頃より、カナリーヤシ、棕櫚(シュロ)、ユッカ、そしてリュウゼツランなどが、団地の中庭や個人邸宅で、好まれて植裁されてきた経緯が見られます。では、当時の流行は、なぜこのような南国風だったのでしょか?理由のひとつに、「宮崎新婚旅行説」というのがあるようです。昭和30年代〜40年代の新婚旅行の定番でもあった宮崎の象徴「フェニックス」、つまりカナリーヤシを団地内に植えることで、新婚生活のスタート地点である生活空間に、楽しかった思い出を描いたということなのでしょうか。