濱 惠介
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2004年05月20日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
住生活 |
WEB |
ホームプロ、メールマガジン「エコで楽しむ住宅改修(12)」? |
一年間お付き合いいただいた連載コラムもこれでひとまず完了です。「可能な範囲で手作りをし、住まいに手を加えながらエコロジカルに暮らす楽しみ」で締めくくりたいと思います。
新築に比べ住宅改修には自分でできることが多くあります。私が自ら工事(工作)したのは、1)手持ちの道具と自分の技術でできる、2)本職に頼むには手間がかかりすぎ高くつく、3)家族で一緒に楽しめる、などの理由に重なり合います。住宅は専門職にまかせるだけでなく、住み手自身が手を加え作ることで、特別な意味が加わるように思われます。
一人で又は家族と一緒に行ったのは以下のようなものです。1)既存の衛生陶器を使った木製洗面台、2)壁、天井に生石灰クリームをローラー塗り、3)紙障子を利用した吹き抜けの可動スクリーン、4)煉瓦積みの植栽用コンテナ、5)テーブル、ベンチ、濡れ縁などの屋外用家具、6)手持ち家具を改造した移動式薪置き場、など。
家具は寸法が特殊だったり、手持ちの材料が生かせたり、思い入れのある形を実現しようとする場合に手作りが効果的です。不要になったものの転用は、技巧だけでなく想像力を必要とする知的な遊びです。自分で作ることは本職にとっての頼まれ仕事と違って、ゆっくり時間をかけることができます。それは労働に似ながら余暇に近いものです。それが特別な価値を生みます。たとえ出来栄えが素人っぽくても、かえって味があるし話題にできます。
材料の加工もなるべく電動工具に頼らず、木や煉瓦の手触りを確かめながら丁寧に加工すること。「効率よく」は産業としては正しいですが、余暇としては楽しみを削ぐことになります。
エコ住宅での生活も手作り的、つまり定型にこだわらず手間をかけて当然です。待機電力をカットするにはスイッチを2回操作しますし、太陽熱を有効に使うには温水器の温度を見ながら直結かガスボイラー経由にするか判断し切り替えなければなりません。環境破壊とエネルギー浪費の関係が見えると、不思議なことにその動作が面倒くさいとは感じないのです。