濱 惠介
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2004年03月26日 |
濱 惠介
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エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.68) |
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薪と人間と地球
人類が他の動物と違う点のひとつに「火」を使うことがあげられる。火の利用によって調理、採暖、照明など様々な利益を享受してきた。今でこそ、これらの目的は都市ガスや電気で満たされているが、長い人類の歴史にあってはごく短い最近の現象に過ぎない。使われてきた「火」の大部分は、薪(焚き木)を燃すことだった。
童話「桃太郎」には「お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川に洗濯に…」という語りがある。この場合、柴はご飯を炊き、暖を取るための燃料だったに違いない。また、落ち葉を掻き、下草を刈ることも柴刈りに含まれる。これは農耕に欠かせない肥料の採取を意味する。それに水利用が加わり、昔の人の暮らしと里山の密接な関係を端的に表している。
このような自然の摂理に従った生活は、近代化とともに大きく変わり、わが国では薪は過去の燃料になったかのように見られた。
ところが、化石燃料の大量消費により地球温暖化という重大な環境問題が起きた。温暖化にともなう気候の変化や海面上昇を防ぐためには、二酸化炭素を代表とする温室効果ガスの排出を抑制する必要がある。省エネが叫ばれ、自然エネルギーの利用に注目が集まって来た。太陽光や風力による発電、太陽熱利用など色々な方策の中で再び脚光をあびているのがバイオマス(※1)で、その中でも木質燃料が重視され始めている。
私の住まいでは、薪ストーブが暖房の一助となり、同時に冬の大きな楽しみになっている。今回はこのストーブの利用を軸に、生活に薪を用いる実際、その効用などを報告したい。