豊田 尚吾
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2004年03月26日 |
豊田 尚吾
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エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.68) |
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今号の特集テーマは「『火』の創造力」である。ここでは他の論考とは少し異なった形で「火」の創造力を引き出してみたい。
鍋やかまどの火、ランプの灯火、風呂をたくための火、タバコの火。少し前までは、火のある生活は当たり前で、火のない生活などは想像できなかった。現在、ライフスタイルの変化や技術の発展により、少なくとも直火を見る機会は格段に減ってきている。そして、全く火を使わない生活すら不可能ではない。では、火を使わないという選択肢も含め、消費者はどのように生活のあり方を決めているのであろうか。そして、彼らの生活向上に企業が貢献できるとすれば、どのように消費者と関わりあっていけばよいのであろうか。我々とつきあいの深い「火」という存在は、その問題意識に対して、ヒントを与えてくれるように思う。
本稿で論じることを具体的にいえば、火力を扱う家電製品をめぐるある騒動を参考に、消費者の生活選択について考察する。そしてそれを通じて、消費者とエネルギー企業とのコミュニケーションのあり方に関して含意を導き出すことを目的としている。本稿の結論および主張は以下の通りである。消費者が意思決定する場面では、複雑なプロセスが関与している。企業はその構造まで理解して、消費者とのコミュニケーションを図らなければ彼らの生活向上に貢献できない。しかし、多くの、特に火を扱うエネルギー企業は、依然としてそのような「消費者の論理」を十分取り入れているとはいいがたく、一層の努力が必要である。一方、消費者も情報の収集や利用などにおいて、その背後にある状況を正確に認識する努力が不可欠である。それが消費者にとって、よりよい意思決定を促すことにつながる。