豊田 尚吾
作成年月日 |
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研究領域 |
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2003年12月25日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
情報誌CEL (Vol.67) |
今年の八月末、中央環境審議会・総合政策・地球環境合同部会・地球温暖化税制対策専門委員会が「温暖化対策税制の具体的な制度の案〜国民による検討・議論のための提案〜」という報告書を提出した。そこでは温暖化対策税、すなわち環境税の導入に関する、かなり具体的な検討が行われている。また、今回の衆議院選挙において、民主党は環境税の創設をマニフェストに明記している。このように、環境税、ひいては環境問題に関する、より具体的な対策が起動し始めようとしている。一方、長引く不況も影響してか、節約や支出の見直しなど、家計の再構築にも関心が向けられている。生活に影響を及ぼすさまざまなリスクに対処することの必要性が認識される中、今後、環境問題は生活面で、どのように位置づけられていくのか、あるいは位置づけられていくべきなのであろうか。
以上のような問題意識の下、拙稿では生活経営における環境問題の位置づけや役割について考察を行う。以下、第一節で、社会における安心と安全への危機感を背景とする、生活防衛意識の高まりを明らかにする。第二節では、生活防衛の中で、環境問題は対応すべきコストと位置づけられること、一方ではそれにとどまらない重要な示唆があることを論ずる。第三節では、環境問題への取り組みをきっかけとして、生活防衛から生活戦略構築へという意識転換が生活者になされるべきであり、それが生活向上につながることを主張したい。