加茂 みどり
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2009年03月20日 |
加茂 みどり
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住まい・生活 |
住宅 |
CELレポート (Vol.36) |
1.はじめに
1960 年代から1970 年代にかけて、現在のスケルトン住宅(あるいはスケルトン・インフィル住宅、SI 住宅とも呼ばれる)の基礎となる考え方が世界においても日本においても生み出された。日本においては、京都大学における公共化住宅論、二段階供給論などがあげられる。居住者の多様な生活やニーズに対応することは、これらの考え方の最も大きな目的の一つであった。そして、その後の地球環境問題の深刻化によって、その方向性は決定的なものとなった。そのための技術開発は、既に多くの発展を遂げ、さらなる耐久性・可変性・施工性の向上とともに、より安いコストでの建設を可能とする技術開発が、今も行われている。可変性に着目すると、現在まで、「どのようにしたら」変えることができるのか、という技術的な課題に大きな関心が寄せられ、そのための技術開発が行われてきた。しかし、住宅計画とそれに追随する設備計画という視点からみると、「どのような状態から、どのような状態へ」変えることが必要なのかという居住に関連した課題を 現代の社会状況を踏まえ再考することも重要だと考えられる。どのような居住を実現することが必要なのかを検討することは、200 年以上存在するに値するハードとしての住宅像を見出す上でも意義があり、その結果を技術開発に反映することにも意義があると思われる。本稿では、現代の大きな社会背景として少子高齢化を取り上げ、少子高齢社会における居住という視点から住宅計画が対応すべき課題を検討した上で、それらを踏まえ実験集合住宅NEXT21 において実施した可変インフィルによる住戸提案とその変更実験について報告したい。