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CELレポート

豊田 尚吾

2008年12月06日

倫理的消費の可能性と課題

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2008年12月06日

豊田 尚吾

住まい・生活

消費生活

CELレポート (Vol.36)

2008年度 生活経済学会 関西部会での報告内容

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

1.はじめに(問題意識)

地球環境問題をはじめとして、社会の維持可能性に対する懸念が高まっている中、政府やNPO、企業はそのような課題に対して貢献を行うことが求められている。そうであれば消費者も、課題解決に資する行動を通じて、個々人の共存を可能にするような社会づくりに貢献することが、自由な消費システムを維持するために必要であろう。

拙稿は、社会を構成する個々人が共存するための規範・ルールを倫理と捉え、それに則

った消費を倫理的消費と定義して、その可能性と課題を考察するものである。それを通じて、倫理的消費を促進し、維持可能な社会基盤の形成に資し、ひいては消費者の幸福感や満足感を高めることを目的としている。

冒頭で、社会の維持可能性に対する懸念が高まっていると簡単に述べたが、より具体的には以下のような事象を想定している。まず、地球環境問題やエネルギー問題のような世代を超えた長期的課題。あるいは昨今の金融危機や資源価格の高騰など、グローバル経済の中での取引秩序に対する不全。またそのような経済取引の結果として富の偏在が大きくなる中での貧困問題。世界人口は65 億人を超え、資源のみならず、食料や水などの生活必需財の供給に対する不安も大きな課題となっている。

日本国内に目を転じると、少子高齢化による人口構成の変化に対応できるような経済シ

ステムの構築に展望が見えず、生活不安の種となっている。また、経済の成熟化や経済格差の拡大だけが原因とはいえないものの、いわゆる地域を中心とするコミュニティの基盤が疲弊、いわゆるソーシャルキャピタルが劣化し、安全や安心を確保する生活の再構築が必要となっている。

以上のような課題は、社会の維持可能性に対する脅威となって意識されている。そうであるならば、あるべき社会をどう形成し、様々な課題に対してどのように対処すべきかを考え、方向性や基本理念を打ち出していかなければならない。それを消費者レベルで考察することが目的であり、拙稿では倫理的消費という論点に焦点を絞って論じようとしている。

 

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