加茂 みどり
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2008年07月11日 |
加茂 みどり
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住まい・生活 |
住宅 |
CELレポート (Vol.34) |
1.研究の背景・目的
日本の総人口は2000 年の国勢調査を基にした予測よりも早くピークを迎え、わが国はいよいよ人口減少時代へと移行した。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、総人口は2004 年の1億2,779 万人を頂点とし、50年後の2055 年には9,000 万人を切り、その50 年後の2105 年には4,459 万人まで減少する。2007 年の合計特殊出生率は1.34 人となっており、2005 年の1.26 人より若干回復しているものの、今後は再び低下すると予測され、世界的にも極めて低い水準である。一方で、高齢者は割合・数ともに急激に増加している。2007 年の全人口に占める65 歳以上の高齢者の割合(高齢率)は、21.5%となっているが、2030 年には31.8%、2055 年には40.5%と推測される。世帯の様子も様変わりし、2030 年には単独世帯が世帯総数の37.4%となる。一方で、夫婦と子どもからなる核家族は、徐々にその割合が減少し、2030 年には全体の22%を切る。平均世帯人員は、すでに3人を下回っているが、2030 年には、2.27 人と予測されている。
戦後の日本の住宅計画は、いわゆる標準世帯と言われる夫婦と子供からなる核家族を中心に考えられるのが一般的であった。しかし、統計や推計のデータをみる限り、今後はそのような核家族を「標準」世帯と考えることができないのは自明である。また今までのような核家族を中心に考えられた住宅では、多様な家族のライフスタイルに適合しきれないことが、すでに顕在化しつつある。
少子高齢化は様々な要因から起こり、社会に大きな変化をもたらす。少子高齢化が深刻化する社会において、住宅計画は少子高齢化の影響やその帰結に対応すると同時に、その要因に対してはできる限り緩和する方向をめざさなければならない。同時に、住宅は様々な「家族」が住む器であり、少子高齢化に伴う家族の変容にも対応していかねばならない。