加茂 みどり
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2008年03月27日 |
加茂 みどり
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都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
CELレポート (Vol.33) |
1.はじめに
現在、京都市内において多くのマンションが建設されている。これらのマンションは、町家をはじめとする京都の伝統的な建物との調和という景観上の課題、地域住民とのコミュニティの構築という生活上の課題を常に孕んでいる。一方で、都心部の鉾町では祇園祭の新たな担い手として期待される場合もあり、その地域との関係・関わりは様々である。本稿では、二つの事例を通じて、マンションを含む地域のコミュニティを考えたい。
2.K町の事例
京都都心部・山鉾町の変化
京都市中京区のK町は、祇園祭の山鉾町である。その位置する通りは、昔から京都の繊維関連商業の中心であり、京都では最も豊かと言われる通りであった。K町においても、呉服等の商いを営む経営者はこの地に暮らし、従業員も住み込みが多く、町民であると同時に、祇園祭の担い手であった。事業が拡大すると、この町には会社だけを残し、郊外に居住地を求める経営者が多くなった。丁稚奉公、住み込みという就労形態は減り、通いで働きに来る従業員ばかりになった。それでも経営者は従業員を祇園祭の手伝いに出してくれた。しかし、徐々に休みを返上して手伝う従業員は減少した。祭の人手はどんどん足りなくなった。
最も人手が要るのは、夜店と鉾が立ち並ぶ3日間の町席の当番である。お守りや扇子などの物販だけではない。夜に出るゴミを早朝には掃除しなければならない。当番は朝6時から夜中24時まで決めるが、町席に泊り込むので、実質は24時間体制である。3日続くとかなりの重労働となる。