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栗本 智代

2007年02月27日

「駄菓子」「今里界隈」

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2007年02月27日

栗本 智代

都市・コミュニティ

まちづくり

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大阪都市協会発行「大阪人」2007年3月、4月号分

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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紙ふうせん、キューピー人形、だるま落とし。梅田の地下街の一角に並ぶ、懐かしのおもちゃに足を止めた。透明なプラスチックの箱には色とりどりの砂糖菓子、棚には、棒つきキャンデー、ラムネ、ポン菓子と、バラ売りの駄菓子がずらりと勢ぞろいしている。

「おれ、今九十五円や。お前は?」興奮した声に振り向くと、小学三年生くらいの男の子。取りかごにチョコやガムを四つ五つ載せている。隣にいるのは弟だろう、同じように手にはかご。菓子の値段は1つ十五円とか二十七円とか端数が多い。足し算のいい勉強になるなあ、などと思っていると、兄が「お前、このチョコよりあっちの方がよく当たるぞ。替えて来い!」ほおーっ、当たり付きチョコの通(つう)だ。精算をすませた2人は、隣のオープンカフェでお茶を飲む母親のもとへ勇んで走っていった。

ふと“うちわ菓子”が目に入る。「おばあちゃんのお菓子だ!」。大阪市内の下町に住む祖母の家では、毎年盆にこの菓子があった。薄くてふうわりした食感とやさしい甘さ。手をひかれて一緒に公設市場に行き、駄菓子屋のおばちゃんに、よくおまけをもらった。不意に、もう帰らぬ祖母と幼少時代の思い出が蘇り、胸が熱くなった。

駄菓子といえば、小学校の遠足である。「三百円まで」と先生の言う上限額ぎりぎりに、スーパーの棚から真剣に選んだ。当日は、友達同士で一粒一粒交換して品評会。珍しいものに人気が殺到した。実は、非常に多くの駄菓子が、地元大阪で開発・製造されており、個性を競っている。食感に特徴があるのは、「パチパチばくだん」(ジャック製菓)。小さい砂糖粒が舌の上で音をたててはじける。癖になりそう。「モロッコヨーグルト」(サンヨー製菓)は、しっとり感のある不思議な柔らかさで、確かにヨーグルト味がする。当たり付きの菓子もさまざまだ。「かんばんシールチョコ」(ジャック製菓)は、”おでん“”お休み処“”むやみにエサを与えないで“といった看板シールが入っており、裏に「当たり」とあればもう1つもらえる。「ニューおとくでっせ」(福助製菓)は、大きな五十円玉に型どったチョコレート。当たりが出たら、記された金額相当のお菓子か玩具と交換できる。現実的だ。

 

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