栗本 智代
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2006年05月30日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
朝日新聞関西スクエア21 |
大阪のまち歩きをはじめて十年以上になる。お笑いやタコヤキのイメージが強い大阪だが、意外に知られていない歴史や文化的なエピソードが数多く眠っているはずだと考え、フィールドワークをはじめた。歩いてみてはじめて知るまちの表情がある。そこで暮らす人に出会ってはじめて体験する祭りがある。エリアごとに全く文化が異なることに驚いたが、同時に、歴史をふまえて新たな「場」を創っていく人々の志や活動こそ、まさに大阪らしい資源であると気づかされた。
「まちの遺産が壊される。何とかしなくては・・・」「住民の元気が出ることをしたい!」きっかけは様々だが、建築物や音楽・芸能、生活情報などを媒体に、人々の心をつなぎ地域独自の文化を創出する活動は、地元住民はもちろんビジターに対しても新鮮な刺激を与える。例えば、平野郷のまちぐるみ博物館、帝塚山や天満の音楽祭、空堀界隈の長屋再生への動き。あるいは、福島や天満、地域寄席などで配られる小さな手づくりのミニコミ誌や冊子。何もなかった白紙の状態から、時間をかけて地域に浸透させ、ファンを増やしている。そんなまちのイベントを愉しみながら、仕掛け人たちにお会いした。地元の“おっちゃん”“おばちゃん”を自称する方がほとんどだが、みな、少年少女のように瞳をキラキラさせて、あれこれ苦労談を語ってくれる。あたたかいオーラに包まれながらまちの物語を聞くと、急にその地域のあり様が、歴史と現在、ケとハレと、重層的に感じられるから不思議である。一方で、自分が住むまちや実家界隈などと比較して、わが心の故郷さがしをしてしまう。