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豊田 尚吾

2005年07月01日

生活戦略論(12)「自立した消費者を目指して」

作成年月日

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研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2005年07月01日

豊田 尚吾

住まい・生活

消費生活

新聞・雑誌・書籍

(財)統計情報研究開発センター「ESTRELA」2005年7月(No.136)所収

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

1. はじめに

昨年制定された消費者基本法は、「消費者基本計画」の作成を規定していた。それを受け、平成17年からの5ヶ年を対象とする計画が本年4月8日に閣議決定された。そこでは「消費者の安全・安心の確保」「消費者の自立のための基盤整備」「消費者トラブルへの機動的・集中的な対応」を基本的な方向とし、消費者団体訴訟制度の導入や消費者教育の推進体制強化などの施策が盛り込まれている。また、消費者基本法の理念を受け、計画法でも消費者の自立支援が強調されている。

本稿では、これまでの連載内容を整理した上で、自立した生活者になるために、生活戦略が必要であることを論ずる。以下、第2節では改めて生活戦略的な考え方は必要かと問い直す。その上で、生活充足を望み、生活破綻を避けたいというニーズがあるならば、戦略的な考え方が有効ではないかと述べる。第3節、第4節では、本連載の主張のまとめを行う。第3節は発想編とし、生活充足に不可欠なものの見方や評価に関し、問題意識を持つことの重要性、2次元思考のすすめ、相互依存関係の認識の3点をポイントとして述べる。第4節では、実践編としてライフスタイルの確認作業、長期計画の策定、リスクマネジメントの必要性を論ずる。最後に、自立を目指す生活者と生活戦略の関係性を主張し、本連載を締めくくる。

2. 生活に戦略は必要か

本連載のタイトルは「生活戦略論」であり、文字どおり、生活に戦略が重要であると提案することが目的であった。ここで今一度、生活戦略は必要であるかと問い直してみたい。その前に、戦略という言葉は、多方面でかなり曖昧に利用されているため、本稿での定義付けをしておく必要がある。『意思決定論』(宮川公男著,中央経済社, 2005年)には以下のような言及がある。“ウエーベル元帥は…「戦術とは戦場において軍隊を動かす技術であり、戦略とは戦場の有利な地点へと軍隊を動かす技術である」としているが、著者はこれが最も明確な定義であると思う(P.307)”。この文脈で言えば、生活戦略とは、そもそもどんな生活が自らの充足感を高めるのかを考えた上で、そのためには何をすればよいかに取り組むことである。

 

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