弘本 由香里
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2005年06月24日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
まちづくり |
新聞・雑誌・書籍 |
大阪日日新聞・コラム「澪標」 |
いよいよ水辺のシーズン。この1ヶ月ほどの間に、相次いで水上交通にかかわる二つの印象的な便りが届いた。
ひとつは、NPO法人「水辺のまち再生プロジェクト」が毎月発行している、メール・ニュース「水辺通信」のトピックで、「大阪の川を巡るクルーズを始めました!」というもの。金曜日の夜、大阪のまちなかを小型ボート(定員4人)で巡る、とっておきのクルーズを楽しめるとういう魅力的なサービスである。水辺の楽しみが、またひとつふえたと、胸のときめくニュースであった。
うれしいニュースと対照的に、ひっそりと姿を消すサービスを伝えるニュースも舞い込んだ。大川沿いの団地に暮らす知人から届いたもので、「アクアライナー通勤船」(大阪水上バス)が6月24日から運航休止となることを惜しむ声である。長年通勤にアクアライナーを愛用してきた知人である。将来整備予定の八軒家(天満橋・大川左岸)の船着場からまちにアプローチできる、そんな日が来ることを夢見ていたのにと、残念な思いが滲む。
リバーサイドの住まいから通勤船でオフィスに通う、それこそ水都の生活文化だと、ゆったりとした水上の通勤タイムを満喫し、こだわりを持って利用し続けてきたという。私もかつて乗船してみたことがあるが、水上から護岸の並木を眺めつつ静かに新聞に目を通すなど、驚くほど優雅に通勤時間を過ごすことができる。
アクアライナー観光船が人気を集めているのに対して、アクアライナー通勤船は運行本数が限られていたこともあって、利用者が極めて少ないという厳しさがあった。運行休止は、観光を中心に水上交通の多様化や競争環境が整いつつある中で、やむを得ぬ判断だったのかと、想像するばかりである。