近年、多くの都市で景観の混乱や中心市街地の荒廃が急速に進行しています。また、大都市と地方都市の格差の拡大も、社会全体に深刻な影を投げかけています。

こうした中で、今「都市再生」が進められています。しかし、特定エリアに限られた不動産開発先導型のプロジェクトだけでは、周辺地域を含んだ都市全体の将来像やそこに生きる多様な人々の生活を支えるヴィジョンを開いていくことは困難です。

日本だけに止まらず、世界各国の都市でも同様の問題を抱え、現状を打破しようと様々な施策が試みられていますが、いまだ決定的なオールタナティブ（代替）の構築には至っていません。

こうした時代状況を踏まえた上で、都市政策に関わる研究者や行政職員などが、都市再生のオールタナティブについて考察することを目的に企画されたのが「シリーズ都市再生」（全三巻）です。第一巻に当たる本書は、大都市の中の小さな地域で注目を集めている、等身大の様々な取り組みを取り上げ、成長主義を超える都市の未来を展望しています。