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弘本 由香里

2005年05月10日

ミュージアムボランティア「町家衆」がつなぐ歴史・文化

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2005年05月10日

弘本 由香里

都市・コミュニティ

まちづくり

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大阪日日新聞・コラム「澪標」

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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大阪市北区天神橋六丁目。天神橋筋商店街と都島通りの交差点角、地下鉄「天神橋筋六丁目駅」に直結したビル内に「大阪市立住まい情報センター」と「大阪くらしの今昔館(大阪市立住まいのミュージアム)」がある。

近年でこそ、大阪都心部が再び住むまちとして脚光を浴びるようになってきているが、高度経済成長期から1990年代まで人口流出が続いた。多くの市民が郊外へと住まいを移していった経緯がある。そのために、大阪特有の近世以来の都市に住み・暮らす生活文化の記憶や誇りが失われようとしていた。

振り返れば、天下の台所として大いに栄えた近世から大大阪と呼ばれるほどに発展した近代へと、大阪はまさに住・職・遊が一体の都市に住み・暮らす生活文化が見事に息づくまちだったはず。そこで、「住むまち・大阪」の再発見と創造をミッションとして誕生したのが、住まい情報センター(99年開館)と大阪くらしの今昔館(01年開館)である。

大阪くらしの今昔館では、近世大坂の美しく豊かなまち並みが原寸大で再現されている。情景を含めた環境そのものを、学術的な裏付けと高度な建築・展示技術で、総合的にきめ細やかに再現し、ハリボテではない実物の住空間・まち空間として体感できるのが、大きな特徴である。

そこに足を踏み入れたとたんに、多くの人々が口々に「あ〜懐かしいわあ・・・」「うちもこんなんやったわあ・・・」と、自然に言葉を発しはじめる。一般的な博物館での、来館者と展示物という関係性ではなく、来館者がまちの空間と心理的に一体化していく現象が立ち現れてくるのである。「住むまち・大阪」の記憶と誇りをとり戻す場になっているともいえる。

そして、大阪くらしの今昔館の魅力をさらに高めているのが、ミュージアムボランティア「町家衆」の存在と活躍である。館内の町家ツアー(ガイド)や、紙芝居、南京玉すだれなどの実演型ワークショップ、おじゃみづくりや折鶴つなぎ折などの参加型ワークショップ、のぞきからくりに振り売りや宝引きなどが登場するお彼岸春祭りやお盆夏祭り、年末おもちつきなどの季節イベント。いずれも、町家衆の発意と工夫で自主的に運営され、来館者の支持を集めている。

 

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