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CELレポート

山下 満智子

2003年10月31日

書籍紹介「他者の苦痛へのまなざし」

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2003年10月31日

山下 満智子

住まい・生活

その他

CELレポート (Vol.19)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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新聞やテレビなどマスコミの映像を通してイラクの戦場やテロの現場、アフリカの貧困や飢餓という悲惨な状況を目にする機会は多い。

本書は、自らの戦場体験や9・11テロを踏まえた戦争の惨禍と映像の関係を追及した最新の写真論である。原著Susan Sonag, Regardng the Pain of Others は、2003年2月にニューヨークで出版されている。著者Susan Sonagは、アメリカで現在もっとも知られた作家であり批評家であるという。

著者は、どこかの国で起こっている惨禍の見物人であることは、典型的な現代の経験である。他の場所にいて「ニュース」として何かを知る者にとっては、対象が写真に撮られることによって現実となるという。また「書かれた記録は思考、言及、語彙の複雑さに応じて、大勢のあるいは少人数の読者にむけられるが、それと対照的に写真には一つの言語しかなく、潜在的にすべての人々に向けられている。」とも言う。

確かにシエラ・レオーネの手足を切り取られた大人や子ども、エイズで死にかかっている貧しい村民、ユージン・スミスが写した水俣病の惨禍など、その映像を目にすることで「世界のどこかで起こっている」惨禍が初めて現実のものとなり、私たちに恐怖と嫌悪を呼び起こす。そして差しあたって危険の無い場所にいる自分の「他者の苦痛へのまなざし」にしばしば罪悪感を覚える。

1839年にカメラは発明された。しかし映像の氾濫にこのような報道写真に私たちが接するようになったのは、それほど古いことではないのだ。写真による記録が存在する最初の重要な戦争はクリミア戦争と南北戦争で、初期の戦争写真の多くは演出されたもの、あるいは被写体に手を加えて加工したものであったという。

軽量で、フィルムの入れ替えなしに36枚撮りが可能なライカのようなカメラによって戦闘のただなかで写真をとることができるようになった。そして1940年代になって初めて深刻な社会問題を写真が扱いうるという新たなコンセンサスが生まれ、フォトジャーナリズムは確立されたのだ。1947年にはロバート・キャパ1らが、フォト・ジャーナリスト集団マグナム・フォトを設立している。

 

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