濱 惠介
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2003年07月10日 |
濱 惠介
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都市・コミュニティ |
都市システム・構造 |
新聞・雑誌・書籍 |
住宅総合研究財団 すまいろん2003年夏号 |
イギリスを本家とする「アーバンビレッジ」が特集テーマの本号に、その対極に位置づけされそうな我が国の「超高層住宅」を取り上げる企画は、おそらく「超高層は望ましくない」という結論を期待してのことであろう。
深く公団住宅の設計に関わっていた私にとって、超高層住宅を論じることには、少々つらいものがある。正直に言って、超高層は個人的にあまり好きでないが、担当の職務や事業のため関わらざるを得なかった住宅の形態である。従って、超高層に関して傾注した努力は、利点を見出し高めることよりも「必然的に生じる設計上の難点をどうしたら改善できるか」というものが中心だったように思われる。
私のアーバンビレッジ理解は必ずしも十分ではない。超高層住宅を客観的に評価する裏付けデータを持ち合わせている訳でもない。それらの点をご容赦の上、お付き合い頂きたい。
1.アーバンビレッジの理解
まずアーバンビレッジとは何かを確認しておく。アーバンビレッジズ報告書(1992)によればその原則は以下ように説明されている1。1)多様な都市機能とアメニティを備えたコンパクトな歩行生活圏、2)用途の総合的複合、3)多様な住宅、所有関係、社会階層の共生、4)公共交通と歩行者・自転車利用の優先、5)高品質なデザイン、6)計画・設計・建設・運営の各段階でのコミュニティ関与、6)環境的・経済的・社会的に持続可能なコミュニティーの実現。
これらの原則に基いて実現したアーバンビレッジの視覚的イメージは、?比較的高さが抑制され、?多様な形式を持つ集合住宅と施設が、?伝統的な街路型の空間秩序を保ち、?ヒューマンスケールの美しい都市景観を形作る、と言うところか。