豊田 尚吾
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2003年07月02日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
消費生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
ガスエネルギー新聞2003年7月2日掲載 |
企業の社会的責任に関する意識が高まりつつあります。本年3月、経済同友会が「企業白書」で、企業の信頼構築と持続的な価値創造のためには社会的責任経営が必要だと主張しました。環境や人権に配慮する企業を選んで投資を行う「社会的責任投資」は、長期的に見れば、より良い収益率が期待できるとの新聞記事も目に付きます(日本経済新聞2003年6月5日付「社会的責任投資は救世主?」)。
社会的な配慮を怠らない企業は、確かに不祥事を起こす危険性が小さいという意味で安心感をもたらします。すなわち、収益の「変動(分散)」を小さくすることはできるかもしれません。一方で、収益の「期待値(平均値)」を高める効果はあるのでしょうか。社会的責任経営を推奨する人達は、社会的配慮が顧客の共感を誘い、それが業績の向上に役立つ。ひいては収益率を高めると説明しています。しかし、収益の分散をリスクとすれば、それも小さくできる上に、平均値も高めるというような都合の良いことが実際に期待できるのでしょうか。
これについては、未だ検証されたものとは言えません。社会的責任投資はまだまだ活発とはいえない状況にありますし、社会性を配慮した経営も日本企業に根付くかどうかはこれからのことで、今後どのような流れになるか注目すべきテーマです。