濱 惠介
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2002年08月10日 |
濱 惠介
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エネルギー・環境 |
省エネルギー |
新聞・雑誌・書籍 |
日本ガス協会誌2002年8月号/シリーズ「お客さまニーズを掴む」の第2回目 |
「お客様のニーズをつかむ」シリーズの二回目、今回は住まいとエネルギーの関係について地球環境問題をからめながら論じる。
環境問題が深く意識されるまでは「生活が豊かになるにつれエネルギー消費が増大する」という常識があった。これはまだ過去形ではなく、今なお消費者の意識に染み付いている概念かもしれない。しかし、際限ないエネルギー消費は様々な形で環境を汚染し、温暖化を始めとする地球レベルの環境が危うくなっている。このような状況を食い止めるため、地球温暖化防止へ向けた温室効果ガスの排出抑制が、立場を超え世界的課題となった。
この問題を解決するには、物質的豊かさを求めることをやめ節約・清貧の生活に移行する、という策がある。しかし、既に豊かな生活を味わった人々の多くにとって、それを捨てることは難しいだろう。
都市ガス企業にとって温暖化防止と自社事業の発展を両立させることは大きなチャレンジである。単純にガス販売量を増やすだけでは温室効果ガスの代表、二酸化炭素の排出が増えてしまう。炭素比率の高い燃料を天然ガスへ置き換えること、コジェネレーションの普及、給湯暖房機やコンロの熱効率向上などが必要であり、その多くは既に実現しつつある。
ここでは、顧客である住み手の判断による省エネルギー方策と満足度、そしてエネルギー供給側の対応について考えてみる。
住宅とエネルギー
我が国の家庭用のエネルギー消費が全体に占める割合は14〜15%程度である。内容はこまごまとした需要の総体で、京都議定書で義務づけられた温室効果ガス排出削減の目標達成が困難な分野と言われる。しかし、住まいにおけるエネルギー消費は、他の分野と異なり住み手みずからの判断で増えもすれば減りもする。つまり生活者自身の意識と行動で大きく変り得る性格を持っている。