栗本 智代
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2002年01月07日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
4名によるリレーエッセイ |
イベントだけでまちはつくれないが、まちづくりにイベントは必要である。市民が文化芸術・アートに出会う機会がまだまだ乏しい日本において、地域ぐるみのイベントは重要な役割を担っている。
それは、その土地性、芸術や芸能あるいは演じる人、そして見て楽しむ人で共に創りあげる「場」の可能性を広げることにもなり、結果として、住民自身に文化を享受する能力が育つ。今回、まち中・路上を舞台にした大道芸をテーマにしたイベントを紹介する。
<第2回全国ちんどん博覧会>
2001年8月29日(水)〜31日(金)、大阪天満宮にて開催された。若手を中心とした全国のちんどん屋が大阪天満宮につどい、会場内6つのステージで、演奏や踊りなど多彩なパフォーマンスを披露した。
「ちんどん屋」と聞くと、昔懐かしいイメージがあり、商店街や下町などを中心に、派手な衣装でにぎやかな音楽を奏でて通りすぎていくものとして、今日では時代の片隅に追いやられた印象をもつ人さえいるかもしれない。しかし実際は、その演劇性や音楽性が見直され、国際的にも興味の目が注がれている。IT産業がめざましい発展を遂げる情報化社会において、「ちんどん屋」によるエリアを絞り込んだ宣伝活動は一見効率が悪いようだが、逆に道ゆく人の心をとらえ、口こみとなって広がるようだ。現在、全国では約150人ものちんどん屋が活動を続けており、年々若手の志望者も増えているという。
ちんどん屋に関するイベントでも、最も大きなものとして、富山で毎年4月に開催される「全日本ちんどんコンクール」が有名である。昭和30年からスタートしたこのユニークなイベントは、当時富山市の芸能課職員の発案で実現した。この時は、ちんどん屋も隆盛を迎えていたものの、商売敵で横のつながりが薄い業界であったようだ。今年で48回目を迎えたこのイベントは、日本全国からプロのちんどん屋が集まり技を競い合うものとして盛り上がりを見せている。こんな催しの中で、ちんどん屋どうしの業界意識や交流も生まれたのであろう。