安達 純
2001年04月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2001年04月30日 |
安達 純 |
エネルギー・環境 |
環境対応 |
新聞・雑誌・書籍 |
(財)省エネルギーセンター月刊誌「省エネルギー」5月号への寄稿 |
現在のマイカーはプリウスである。この車を、私と妻はかなり気に入っている。それまで乗っていた車に比べて燃費は確かにいいし、パッケージングも優れていて、小型車でありながら大人4 人がゆったりと座れる。交差点などで停車したときには、エンジン自体も停止する。「静かな車ですねー」と、高速道路の料金所で係りの人から声をかけられることもあり、それをきっかけにちょっとしたコミュニケーションが生まれたりする。
エネルギー・モニターがついていることも、この車の魅力のひとつだ。プリウスに採用されたハイブリッドシステムでは、発進時にはバッテリーに貯えられた電気によってモーターが駆動し、スピードが上がると、その時点でエンジンがかかるようになっている。これはエンジンをできるだけ高回転で効率よく使うためである。そしてブレーキを踏むと、その際生じる熱エネルギーが電気に変換されてバッテリーに貯えられる。こうした車の稼動状況やエネルギーの使用状態が、モニターで一目でわかるようになっているのである。
そうすると、エンジンのかかりをなるべく遅らせようと、ゆっくりアクセルを踏むようになるのが不思議だ。省エネ運転を心がけようという気持ちが自然に湧いてくる。車は、スピードやテクニックを競うことで‘快’が得られるが、省エネ運転を心がけることによっても、それらとは一味違う‘快’を得ることができるのだ。後者の‘快’への入り口が、このエネルギー・モニターなのである。省エネを促進するためには、ハード面とソフト面の両方が必要であるとよく言われるが、この車には、優れたメカニズムとともに省エネ運転を促すような工夫が仕組まれている。
ところで、私どもの研究所では数年前に「市民のエネルギー意識調査」を実施した。その結果によると、全体の8 割が「ふだんからエネルギーの現状や将来について関心がある」とする一方で、「自分の生活では、無駄なエネルギーを使っていると思う」と答えた人も6割に上った。このように私たちの意識と行動には、まだギャップがある。
意識を行動に結びつけるにはどうしたらよいのだろうか。