豊田 尚吾
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研究領域 |
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2001年04月29日 |
豊田 尚吾
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
新聞・雑誌・書籍 |
NPO22世紀北輝行研究会・提言集第2号「北輝行」への寄稿 |
生活において、最も身近で基本的なもの、それは「お金」である。本稿ではお金を切り口に、北海道の未来について考察する。具体的には、独自の通貨で北海道の抱える課題に取り組んではどうかとの提案を行う。
お金の循環が地域社会を支える
拙稿で「お金」を明示的に取りあげる理由の第一は、それが地域社会の新たな協力関係
構築に資する可能性を秘めているからである。お金に関する多様な論点の中には、商店街のポイントカード制度や、「地域通貨」の発想が含まれ、現在も各地で実践されている。地域通貨とは、円など全国で流通する通貨とは異なり、その地域でしか利用できない独自の通貨のことである。これはお金を媒体(メディア)にした市民のコミュニケーションを促し、新しい協力関係を構築することに貢献する。北海道で地域通貨といえば、栗山町のクリンが有名である。クリンは基本的にエコマネーという考え方を基本に設計されており、その目的は小集団による小さな取引活発化によるコミュニティの形成である。すなわち、クリンでの取引は買い物の手伝い等、「思いやり」的なサービスを中心としており、通常の商品取引とは一線を画している。
ところで、地域経済にとって、お金が人から人へと次々に移り変わりながらも、それが
他地域に流出することなく循環している状態が望ましい。それは地域経済の活性化、ひいては雇用の安定に繋がる。この貨幣の地域内循環が必要だとの認識こそが「お金」を切り口とする第二の理由である。現在、北海道においては、自立社会の構築が大きな課題となっている。そのためには経済基盤強化の方向性を明確にしなければならない。