濱 惠介
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2001年03月30日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.56) |
住宅が「エコロジカル」である最も重要な条件として省エネルギー性が挙げられる。一方、少ないエネルギーで快適な暮らしを営むには、室内の温熱環境に着目する必要がある。「再生エコハウス」で暮らし始めて一年間余り、その住み心地と消費したエネルギーなどが明らかになった。今回はエネルギーの消費・調達の実態及び温熱環境の評価などについて報告する。なお、この住宅の概要はCEL五四号を参照して頂きたい。
省エネルギーの意味と実際
エネルギーを自由に使えれば、機器を使って比較的簡単に快適な室内環境を得ることができる。寒い時には暖房を、暑すぎれば冷房を、暗ければ照明をつける、それもスイッチ一つの簡単な操作で。しかし、そのような方法だけではエネルギー消費が増え続け、環境破壊につながる。二酸化炭素排出による地球温暖化や、原子力発電所からの核廃棄物の蓄積などが見過ごせないほど深刻になっているのだ。
住宅が居住のために消費するエネルギーは、建物寿命を三〇年とした場合、建設に要するエネルギーの約三倍にもなる。また、断熱材を製造するエネルギーは、断熱によって節約される量に比べれば取るに足りないものである。建物を長持ちさせればさせるほど、この傾向は顕著となる(*日本建築学会建物のLCA指針案一九九八)。
少ないエネルギー消費でも快適な、健康で満足できる住まいを実現するにはどうすれば良いのか。有効な対策には次のようなものがある。これらのアプローチは、機械力への依存を減らし、自然の力を上手に利用しようとする「パッシブ・デザイン」の精神に通じる。1天井・床・壁や窓の断熱性を高め、熱のロスや侵入を少なくする。
2外の環境に応じて閉鎖・開放の両方に対応できる設計とする。
3太陽などの自然エネルギーを直接又は間接的に利用する。
4エネルギー効率の高い設備機器を選んで使う。
5住み手の心掛けや生活の工夫でエネルギー消費を減らす。
これらの対策には大きなお金がかかるものもある。しかし、断熱工事は住宅を新築や改修(リフォーム)するのに合わせて実施すれば、工事費の増加分は単独に施工した場合に比べ格段に安い。