豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2000年10月01日 |
豊田 尚吾
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
CELレポート |
容量大注意0.78M |
・ 一般にIT(情報技術)はビジネスとの関わりで論じられることが多い。それは、まず企業内の生産性向上、次に新しいビジネスモデルの構築という形で展開されていく。しかしITにはより大きな意味と意義があるというのが拙稿の問題意識である。意義とは、経済システムを超えた、社会システム、政治システムなどへの情報技術の波及である。
・ 従って、最終的にはビジネスの世界に還元する目的を持っていたとしても、まずは広い視野でITのインパクトを見極めることが必要である。以下では地域ポータルサイトを取りあげ、その可能性と課題を探る。地域ポータルサイトとは「地域と関わりの深いコンテンツや仕組みを備えたポータルサイト」のことであり、様々な地域ポータルサイトが現在でも稼働中である。
・ 拙稿では、地域ポータルサイトの持つ潜在的な可能性を以下のように考える。社会を構成するサブシステムを経済システム、政治システム、狭義の社会システム(コミュニティのようなもの)と考えれば、本来それらは相互に依存しあい、時には競合している存在である。それらの関係性を高めるのは、地域ポータルサイトの活用が有効であるかもしれない。即ち、地域ポータルサイトは、社会システム論的にみたサブシステムの融合場所になりうるのである。それを一つの地域ポータルサイトを例に考察する。
・ 地域ポータルサイトと大阪ガス(グループ)の関係を考えるために、株式会社エルネットの事業を参考にした。現在、エルネットは携帯電話のコンテンツとして、地域ポータル的な機能をビジネスモデル化しようと試みており、一定の成果を上げている。インターネット上での地域ポータルサイトの可能性に対しては、普及率の低さがネックであり、未だビジネスモデルは見えてこないとのことであった。
・ しかしながら、ITに関する環境の変化は激しい。課題に対する地道な取組によって、地域ポータルサイトの潜在的な可能性が開花すれば、社会を構成するサブシステムが互いに活性化しあい、融合する場ができるであろう。それはひいては新しいビジネスチャンスが創造されることにも繋がる。