山下 満智子
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2000年09月10日 |
山下 満智子
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住まい・生活 |
食生活 |
新聞・雑誌・書籍 |
割烹研究会を開催
大阪ガスの本格的な料理活動は大正時代に始まります。薪や炭に代わる燃料として当時の「最新エネルギー」であるガスを台所でご利用いただくことが目的でした。照明用としては比較的早く家庭に受け入れられたガスでしたが、大正時代になっても台所の熱源は薪や炭、値段の安い練炭が一般に広く使われていました。ガスの火やガス機器を日常に使用するには、まだ危惧の念が強く存在しました。
ガス事業は、ガス灯など照明用から撤退を余儀なくされた大正時代に、社運をかけて薪や炭に代わる燃料分野へと転換をはかりました。大正2年には料金値下げを行い、薪や炭など他燃料に比べて「低廉・安全な文化燃料」、「点火はマッチ一本で済む、火の強弱は自由自在、何にも火吹竹の厄介がない」とガスやガス器具について宣伝にこれ努めました。しかし思うほどには効果は上がらなかったようです。宣伝書(パンフレット)や「上手なガスの使ひ方」という小冊子を配布しても、ガスやガス器具を見たことのない方がほとんどという時代、宣伝効果が上がらないのも当然でした。
ちょうど当時女学校でも割烹の授業が始まり、西洋料理の割烹講習会が流行り始めていました。そこで台所の燃料として「新エネルギー」ガスに対する迷信を解いて、さらにガスの利便性を理解していただくためにはガスやガス調理器具に触れてもらうしかないと、ガス会社の割烹講習会が始まりました。そして大正7(1918)年頃にはすでに当時の神戸ガス(神戸瓦斯、明治34年開業、昭和20年合併)では、割烹講習会を開催し盛況を極めています。