豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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1999年12月01日 |
豊田 尚吾
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
講演録 |
● 「市場化」の弊害を補償する施策の一つとしての地域通貨制度
(お金に多様性を求める“考え方”)
・地域通貨制度とは?
・地域通貨制度の意義と課題
(経済学の視点から)
・提案:地域通貨による排出権取引
地域通貨制度とは
−基本的特徴(1)−
● 問題意識:地域通貨制度の概念は多様であり、整理が必要。
● 第一に地域通貨制度に共通の、基本的特徴を明らかにする。
定義「価値観を共有する有志のメンバー間で流通し、財・サービスと交換することのできる独自の証書」
価値観:地域経済の自立、健全なコミュニティの構築など。
証書 :紙幣、クーポン券、ICカードなど。
このような地域内でのみ通用する通貨を、既存の通貨と「並行して」利用していくシステムが地域通貨制度である。
地域通貨制度とは
−基本的特徴(2)−
● 取引例
(1)組合の会員になる
(2)目録(各会員が提供できる財・サービス所収)を受け取る
(3)取引希望財を選んで、相手に連絡、相対交渉で条件(価格など)を決める
(4)小切手(地域通貨)に金額を記入・署名し、事務局に送付
(5)事務局は各会員のバランスシートを作成(財の購入者の残高は減り、提供者の残
高が増える)
地域通貨制度とは
−基本的特徴(3)−
● 地域通貨制度の特徴
(1)使用は特定地域内のみ、通常の通貨(円など)との交換は不可→購買力の地域
外流出を防ぐ
(2)地域通貨の発行者は“個人”である→個人の信用が通貨の信頼性の源泉
(3)通常の市場では取引が成り立ちにくい財・サービスを積極的に取り込む→コミュニ
ティの形成、安定化
(4)市場ではなく、相対取引が基本→一物一価ではない
(5)利子が付かない→貯金のインセンティブなし、投機もなし