豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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1999年10月01日 |
豊田 尚吾
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エネルギー・環境 |
環境対応 |
CELレポート (Vol.3) |
補論2 ゲーム論的考察−試論の頑健性
(1)モデルの定式化
第4章のモデルにおいては、顧客の不満度や環境対策費用は環境関心度に比例しているとの仮定をおいていたが、これは緩和の余地がある。実際、多くの場合、関心度と実際の商品の持つ特性との差を二乗したものが顧客の負担感とするモデルも多い。本節では前のモデルの頑健性を確認するため、仮定を変更し、顧客の不満度や環境対策の費用が直線ではなく、2次関数として定式化される場合のモデルを用いて分析をおこなう。
このようなモデルはどの様にすれば得られるのであろうか。第4章でのモデルの定式時には顧客の製品差別化に対する要求水準(環境関心度)と要求水準を満たすために必要な費用がともに1次関数、すなわち比例的に変化するとの仮定をおいていた。(図表3参照、CELレポート第2号 PP79.)しかし環境対策費用が逓増する可能性も十分あり、顧客の要求水準も指数関数的に増大する場合もあり得よう。このモデルの基本的発想は言うまでもなく「ホテリングのモデル」に依っているが、そこでは顧客の負担感は要求水準との乖離の二乗に比例すると仮定されている。従って、第4章でのモデルの頑健性を確認するためには、このような仮定を変化させることによる変化を見ることが必要である。
今述べた理論モデルは、顧客の環境関心度と、その要求水準を満たすために必要な費用
関数の形状が1次関数から2次関数に変化したこと以外はほとんど第4章で想定したモデルと変わりがない。
この場合も前節と同様に2段階ゲームの展開形として表すことができる。