豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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1999年10月01日 |
豊田 尚吾
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エネルギー・環境 |
環境対応 |
CELレポート (Vol.3) |
要約
・ 今まで行ってきた検討をもとに、当社が持つべき問題意識を整理した。エネルギー事業者として、排出権の確保や監視・モニタリングのノウハウ、取引のリスクやコストの管理などが必要になる可能性がある。
・ 時間をまたぐ不確実性問題に関しては、コモディティのリスク管理、排出権取引制度導入のインパクト把握、それをふまえた企業戦略の策定と、可能であるならばそれに資するような政策提言が望まれる。
・ 公益事業の立場からは、排出権取引市場における不完全競争の影響というような、問題意識の絞り込み、具体的調査と戦略策定が必要であろう。
・ 理解を深めるための一層の分析・検討が今後の課題である。
*特記事項
・ 本文に引き続き、補論1,補論2を掲載しております。補論1は前号での「4.不完全競争下での排出権取引(2)(ゲーム論的考察−試論)」に関して省略した場合分けごとの解の存在証明であります。補論2はそれをさらに発展させ、生産者の製品差別化費用、需用者の満足度を1次関数から2次関数に仮定を変更した場合のゲーム論的アプローチを検討しています。
・ 「排出権取引に関する一考察」は今回で完結いたします。
5.大阪ガスに関連する事項
本章では、今までの考察をもとに、得られたインプリケーションを当社と関連づけ、具体的な問題としてとらえることを目的とする。
(1) 排出権取引に関連する、大阪ガスの産業としての特徴
実際に排出権取引制度が導入された場合、大阪ガスがどのような影響を受けるかということに関しては必ずしも自明ではない。しかし前章までで見てきたように、排出権は規制政策の一種であり、取り扱いには費用が伴うという意味で、少なくとも経営戦略上の制約条件になることは間違いない。ガスの燃焼に伴って発生する温室効果ガスが、排出権と対応することになれば、排出権の確保、排出権の監視やモニタリングへの対応、排出権取引コストの管理、排出権取引に伴う各種リスクの管理、他の施策(CDM)などとのバランス維持などが、当面考えられることであろう。以下、それらを具体的に考えてみよう。