安達 純
1999年07月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
1999年07月01日 |
安達 純 |
エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
CELレポート (Vol.2) |
・ 原子力発電は、わが国では基幹エネルギーとして大きな役割が与えられているが、世界の趨勢はむしろ原子力利用からの撤退の方向にある。
・ 他のエネルギー価格の相対的な低下や規制緩和の進展によって、原発の経済的優位性が失われている。また、原発の現段階における最大のセールス・ポイントであるエネルギー自立ならびに地球環境問題解決への寄与についても、国民的コンセンサスが得られているわけではない。それに加えて原発は、安全性や核不拡散から見た安全保障上の問題も孕んでいる。
・ こうした中で最近、「原発を特別視するのではなく、他のエネルギーと同じ土俵で考えるべきではないか」あるいは「原発が生き残るためにはどうすればよいか」といった見方が原子力推進論者の中からも出てきている。今後、電気事業者は、核燃料サイクルも含めて原発システム全体としての経済性をより重視する方向で原発事業を展開していくであろう。
・ しかし、もっと重要なのは国民経済的視点からの議論である。市場の自由化が進むわが国において、原発推進の根拠は何か、もし原発が経済的でないとするならば原発のメリットと言われるものはそれをカバーしうるのか、といった基本的な問題について広く議論しコンセンサスが形成されるべきである。その前提として、まず原発の真のコスト(原価ならびにリスク)が明らかにされる必要がある。