豊田 尚吾
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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1999年07月01日 |
豊田 尚吾
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
CELレポート (Vol.2) |
1.LETS、タイムドル、エコマネーとは
既存の通貨とは別に、限定された地域や、特定の目的に限って使用可能で、NPOなどが中心となって発行・運営する通貨、あるいは通貨制度のこと。環境や福祉、地域振興などを目的として発行される。例を挙げると、「寝たきりの老人を入浴させる」「雪下ろしを手伝う」「総菜を提供する」など、市民としての小さな労力を「エコ」というような「円」とは異なった貨幣を媒介してやりとりを行う。経済的価値のみを表す「円、ドル」といった通貨とは異なり、経済メカニズムにのりにくい財・サービスを、ボランティア精神、善意といったエネルギーを原動力に流通させようとするものである。しかし、次節で見るように、その基本的な考え方や、流通システムは様々であり、ネーミングなどにも混乱が見られるため、注意が必要である。
その基本的な特徴を挙げると、?決済機能のみを持ち、信用創造機能を持たない。従って、バブル発生の心配がない。?ある地域内や環境・介護などの特定分野でのみ流通する。?新貨幣の管理は非営利団体が行う、などである。
欧米で広く知られているのはLETS(Local Exchange Trading System:地域交換・交易システム)であり、これは過疎・失業対策を主な目的として広まった。現在、世界17カ国1500以上の地域で取り組まれている。ボランティア精神の高揚、環境問題への関心、高齢化など福祉問題の深刻化などを背景として、最近日本でもLETSなどの仕組みが注目されつつある。