安達 純
1999年04月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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1999年04月01日 |
安達 純 |
エネルギー・環境 |
地球環境 |
CELレポート (Vol.1) |
・現在、世界の電気事業において、効率化を主目的とする市場の自由化が進んでいる。
・ 市場の開放度は、各国のエネルギー・セキュリティーの考え方によって大きく左右される。エネルギー資源に恵まれず原子力のオプションが存在する日本やフランスは、競争の導入には慎重であり、市場の自由化と長期計画の調和を図ることがエネルギー政策の基本となっている。
・ 市場の自由化は、地球環境問題に影響を与える。米国や英国などに見られる石炭発電から天然ガス発電へのシフトは地球環境問題にとってのプラス要因である。
・ 一方、競争の導入が原因となって生じる新エネルギー発電やDSM(電気事業者が需要家先で行う負荷平準化・省エネ方策)の低迷は、地球環境問題にとってマイナス要因である。また、見方によっては原子力発電の新規開発の停滞もマイナス要因である。
・ 競争の導入は、投資環境に変化をもたらす。経営の先行き不透明感が高まるにつれて、投資リスクを回避する傾向が強まる。資本コストの安い電源が選択され、中長期的視点からの投資は手控えられる。天然ガス発電の促進や、他方での新エネルギー発電・原子力発電ならびにDSM の停滞は、主に投資リスク回避の結果である。
・ 市場の自由化と地球環境問題の調和を図るための施策については、それぞれ課題を内包しながらもいくつかのオプションが存在する。しかし、わが国においては、これらの施策の実現可能性についての議論が十分高まっているとは言えない。