前市岡 楽正
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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1999年03月20日 |
前市岡 楽正
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
CELレポート (Vol.1) |
【要旨】
・ 温室効果の存在に疑いの余地はない。他の条件が一定であれば、温室効果ガス濃度が上昇していけば、時間の遅れを伴って、地表気温が上昇していく。
・ 産業革命以降、温室効果ガス濃度が急増している。したがって、温室効果の促進は確実である。
・ 最も重要な温室効果ガスである二酸化炭素の濃度は、主に化石燃料の使用と森林伐採によってもたらされた。大気中の二酸化炭素濃度が上昇しているという事実は、二酸化炭素の排出量が、大気中の二酸化炭素濃度を一定化させようとする自然のメカニズム(炭素循環)の許容水準を超えていることを示している。
・ 過去の二酸化炭素濃度やIPCCシナリオ等を勘案すると、現在の排出レベルを削減することが必要である。
・ 近年(特に20 世紀後半)の排出量の増加基調、ツケが後へ回る構造や温暖化の影響の大きな不確実性を考量するなら、早急に行動を起こすことが必要である。
【本文】
はじめに
地球温暖化問題は、最大の環境問題であるというにとどまらず、21 世紀の最大の問題の一つであるといっても大きな異論はなさそうである。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)(* 1) の第1次報告書は次のように述べている。「ある特定の影響が発生する時期、発生す場所及びその内容を正確に予測するには科学的な不確実性が残っているものの…人類が本格的な予防及び適応対策を講じない限り、地球の環境には重大かつ破滅的ともいえる変化が生じるだろう」([9]p151)。
本連載「地球温暖化ノート」の究極の目的は、地球温暖化問題にどう対応すべきかを検討することにある。地球温暖化問題はきわめて広範囲にわたる問題である。そのうち、本連載では、重要だと考えられるテーマを順次取り上げていく予定である。それぞれのテーマを考えるに当たって知っておくべき基本的な事項をコンパクトに整理し、それに基づいてどう考えるべきかを検討していきたい。