安達 純
1999年01月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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1999年01月01日 |
安達 純 |
住まい・生活 |
その他 |
新聞・雑誌・書籍 |
サラリーマンは従来、仕事や職場の人間関係を通して自分を認識し、社員として語ることが多かった。生活が会社で完結する‘会社人間’といわれたゆえんだ。しかし、日々の暮らしの中では「消費者」であり、「地域社会で共に生きる市民」でもある。労働時間の短縮などが進み、これまであまり目を向けてこなかったそれら2つの面の重要性に気づき始めている。
人生観や組織観も大きく変ってきた。モノの豊かさや利便性の追求だけでなく、「よりよく生きたい」との志向が一般に強くなっている。自己能力を高め、コミュニティーとの連帯を深めて、社会的に自己実現する生き方だ。また、組織や個人のどちらかに偏るのではなく、両者を柔軟につなぐネットワークが共感を得つつある。
つまり、今後のサラリーマンは、会社員、消費者、市民の3 面をバランスよく統合した「生活者」と位置づけられるだろう。
そこでまず、「生活者」としてのサラリーマンのあり方を考えてみたい。
まず、会社員としての面だが、仕事の内容が専門化して複雑さを増し、それに伴って雇用形態も大きく変わる。
日本経済は出口の見えない不況下にあり、中長期的にも構造改革の課題を抱えている。こんな状況下では終身雇用など従来の雇用システムが見直されるのは必然だ。また、パソコンの普及やインターネットなどの情報技術の発達で、働き方も多様化するだろう。
フレックスタイム制や裁量労働制などが普及し、サテライトオフィスや在宅ワークなどが、今以上に広がりをみせる。サラリーマンは働き方の多様化を、自らの価値観や能力に応じた職場が選べる時代がきた、と前向きに受けとめるべきだ。仕事を自己実現の一手段として冷静に見つめることが一層求められる。