濱 惠介
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2007年12月18日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
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日経BP・ECO JAPAN連載コラム(14) |
なぜ手づくりがエコなのか
種としての現代人類はホモ・サピエンス(homo sapiens)、つまり「知性を持つヒト」と呼ばれます。これと似た表現でホモ・ルーデンス(homo ludens)やホモ・ファーベル(homo faber)があります。前者は「遊ぶヒト」、後者は「作るヒト」という意味で、人間の根源的な行動を表しています。今回の話題は、家具や住まいの一部を自分で作ることですが、上の言葉からも、モノを作り遊び楽しむというのは、きわめて人間的な行為らしいのです。そこで、エコの視点から手づくりの意味を改めて考えてみましょう。
歴史を振り返ってみると、我々は社会の産業化によって物質的な豊かさを獲得しました。特に工業の発展と大量生産によって、多種多様なモノが庶民の手にも入るようになりました。同時に、工業の発展がもたらした高性能の農機具や優れた施肥・防虫技術によって、食糧も飛躍的な増産に成功し、人口も急激に増えました。一方、大量生産・大量消費の結果、資源の枯渇や環境の汚染・破壊という深刻な問題を引き起こしています。
それに比べ、昔ながらの手仕事によるモノづくりは、今あらたな意味を持つようになったと思われます。手づくりは基本的に一品生産で、作る量も限られています。大きな装置は不要ですから、大きな資本とも無縁で、必要がなくなれば止めればよいのです。