濱 惠介
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2007年11月06日 |
濱 惠介
|
エネルギー・環境 |
再生可能エネルギー |
WEB |
日経BP・ECO JAPAN連載コラム(11) |
焚き木の火と地球環境
今回は、太陽がくれるエネルギーの第3話、焚き木と薪ストーブの話です。
人類を他の動物と区別する明確な根拠に「火」を使うことがあげられます。言語と道具の利用は、それに近いことをする哺乳類が他にもいるので、二者の境界は少し曖昧です。人類は火の利用によって生き延びて来た、と言っても過言ではありません。調理、採暖、照明など様々な目的に火の恩恵を享受してきました。現在、これらの用途はガス、灯油、電気などで満たされていますが、長い人類の歴史にあっては、ごく短い最近の現象に過ぎません。使われてきた「火」の大部分は、焚き木を燃すことでした。
童話「桃太郎」の最初のあたりに「お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川に洗濯に…」という語りがあります。この場合、柴はご飯を炊き、暖を取るための燃料だったに違いありません。また、落ち葉を掻き、下草を刈ることも柴刈りに含まれ、これは農耕に欠かせない肥料の採取を意味します。それに水利用が加わり、昔の人の暮らしと里山の密接な関係を端的に表しているようです。
このような自然の摂理に従った生活は、近代化とともに大きく変わり、わが国では焚き木は過去の燃料になったかのように見られています。ところが、とって代わった化石燃料の大量消費によって、地球温暖化という重大かつ深刻な環境問題に直面しているのです。
太陽光や風力による発電、太陽熱など再生可能エネルギー利用の中で、再び脚光をあびているのがバイオマス(動植物に由来する燃料)です。その中でも、住まいで簡単に利用できるのが木質燃料です。
わが家では、薪ストーブの利用が暖房の一助となり、同時に冬の大きな楽しみになっています。今回は薪ストーブを中心に、焚き木の扱い方、火の効用などをお話しします。