濱 惠介
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2007年07月03日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
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日経BP・ECO JAPAN連載コラム(2) |
明治時代の新聞人に黒岩涙香(るいこう、本名は周六)という方がいました。日刊紙『萬朝報(よろずちょうほう)』を発行して、時の権力者の腐敗や社会悪に対し痛烈な批判を加えた人です。彼の新聞発行にかけるモットーは「一に簡単、二に明瞭、三に痛快」というものでした。なるほど、百年後の我々にも共感できます。エコライフの実践も、この方針で始めましょう。「痛快」とまで行かなくても、「面白い」、「気持ちいい」くらいで十分だと思います。そして批判精神を忘れずに。
エコな暮らしの視点をいくつかに区分して、順に考えてゆきます。とりあえず、1)資源・ごみ系、2)エネルギー系、3)土・水・緑系(又は自然環境系)とします。今回は、まず「資源・ごみ」の視点で。
どんな時代でも人間は入手できる資源を色々な形に加工し、より良く生きるために利用してきました。使用済みのものは他の人に渡ったり、他の目的に転用したり、とことん使いまわした後、燃えるものは燃料にしました。工業化以前の資源利用は量的にも少なく、また製品も自然に近い組成でしたから、資源枯渇の心配や廃棄物による環境破壊はまれでした。せいぜい、汚物が衛生状態を脅かす程度。貴重な金属が捨てられることなどなく、陶磁器の破片などを除いてほとんどは土に戻る資源消費だったのです。もちろん、プラスチック(合成樹脂)は存在しません。
今日の問題は、あまりに多くの物質が生産され消費される結果、天然資源に枯渇が迫っているものがあること、工業製品は自然の力で分解処理されないものが大半なこと、そして廃棄されたものの行き先=捨て場がないことに要約されます。焼却灰も重金属などが残り安全とは言えず、その処分場にさえ困っているのです。資源の採取・輸送・製品化、製品の輸送・保管(物によって冷蔵)そして処分に伴い、エネルギーが消費されCO2が排出されることは言うまでもありません。