濱 惠介
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2009年06月02日 |
濱 惠介
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エネルギー・環境 |
省エネルギー |
WEB |
日経BP社特設コーナー「High Ecology Low Carbon〜創エネ住宅の時代へ」内のコラム |
マドとwindowの起源
今回のテーマは窓や扉を通じた熱の移動です。本題に入る前に雑学談義を少々。日本建築と西洋建築では「窓」の起源が大きく違っているという話です。
日本建築における窓の成り立ちは、柱と柱の間を壁にせず戸にした結果と見なせます。マドがその様な意味の「間戸」に由来するという説もあります。
かたや、石や煉瓦(れんが)を積んで作られる西洋建築では、窓は壁に開けられた穴でした。英語のwindowは風の目(vindr auga)、つまり風を通す穴という意味だったようです。窓を意味するフランス語fenetre、ドイツ語Fensterなどの語源fenestraは、解剖学で「穴」を意味しますから、これらも同じ概念。
要するに、日本では建物の側面は柱を除き全部開いているのが原点、西洋では壁が原点で、そこに構造上許される範囲で穴を開けた、ということです。風土への対応で見れば、日本の住まいは開放的、西洋の住まいは閉鎖的であり、空気や熱の移動にも大きな違いが生じました。鉄筋コンクリートの普及で、近年は西洋でも日本と同じような横長で大きな窓が見られるようになりましたが、根底にある窓の概念には大きな違いがあると思われます。