山下 満智子
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2009年09月28日 |
山下 満智子
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住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.90) |
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食生活全般への満足感は相変わらず高い水準で推移しているが、食生活の不満は「栄養バランス」から「食の安全・安心」へと大きくシフトした。中国産冷凍餃子への毒物混入や相変わらず続く食品偽装、事故米転売の発覚など食の安全・安心を揺るがす事件が相次いだことが大きな要因となった。
戦後の欠乏期を経て、経済成長とともに日本の食料事情は改善され、1980年代以降飽食の時代などといわれるほどの状況となった。それ以来30年近くの間、常に健康や栄養バランスが食生活の不満のトップとして挙げられてきた。しかし今後、世界的な食料の逼迫が予想され、輸入に依存する日本の食卓の危うさを誰もが意識するようになってきた。そして自身の食卓を振り返れば、調理が嫌い・面倒と感じながら、短い調理時間で手早く食事を済ますためには、中国産や近隣諸国で加工された冷凍食品や冷凍野菜が不可欠となっている。外食や中食も状況は変わらない。食生活の不満の転換は、「食の安全・安心への不安」という食環境の大きな変化を象徴するものといえる。